お数珠はどうしてもつの?

なるほど なっとく!Q&A

さて、今日は勤行や唱題をする時にひつようなお数珠(念珠)についてお話しします。

 

①お数珠のはじまり

 

木槵子経というお経に、「むかし、ハルリ王という王様は、自分の国で病気がはやったり、食べものが不足して人びとが苦しむのを見て、なんとかしたいと思いました。しかし、お釈迦様が説かれた教えはとてもたくさんあり、そのすべてを修行することはできません。そこで、どうしたらよいかお釈迦様に教えを願ったのです。すると、お釈迦様は、木の実の珠を一〇八つ連ねてお数珠をつくることを教えてくれました。そのお数珠をつねに身にたもち、心に仏法僧の三宝を一回唱えるごとに、ひとつの珠を数えなさいと教えられた」(『当家三衣抄』二二四取意)と説かれており、これがお数珠のはじまりといわれています。

 

⑧お数珠の役わり

 

総本山第二十六世日寛上人は、「数珠は、末法の私たち衆生の信心修行を励まし進めさせるための法具である」

 

と説かれています。

 

まだ遊んでいる時などでも、勤行の時間になってお数珠をもつと、「勤行だからきちんとしなきゃ」「お題目をしっかりと唱えよう」などというように、遊びから気持ちをきりかえることができますよね。このようにお数珠は、持つことによって自然と修行にみちびいてくれる、大切な信心の道具なのです。

 

また、お数珠は唱題の数を計算する役わりもあります。皆さんはお数珠の珠をかぞえたことがありますか?じっさいのお数珠と、説明図を見ながらこの続きをよんでみてください。ただし、個々の名称については他の説や読み方もあります。

 

 

 

まず、父珠(ちちだま)から母珠(ははだま)までのあいだに珠が五十六あるので、ここを一往復するとおよそ一〇〇になります。つまり、お題目を一遍唱えるごとに一つの珠を数えていくと一〇〇遍唱えたことがわかりますね。そして、一往復したら「数取り」の珠を一つ数える、というようにしていけば、お題目をどのくらい唱えたかがわかるしくみになっているのです。

 

今はだれでも時計をもっていますので、時間によってお題目のおおよその回数がわかります。しかし、時計がなかった時代は、毎日同じようにお題目を唱えるために、珠を数えるようにしていたのですね。

 

この珠の数え方にもルールがあります。

 

それは「母珠を超ゆることなかれ」ということです。珠を数える時に母珠をこえることは「母をのりこえる」という意味となるので、してはいけないということです。大好きなお母さんには、「ありがとう」の気持ちをもって親孝行しなければならないのに、「母をまたぐ」おこないは親不孝になってしまいますね。珠を数えるときには、父珠と母珠の間を行ったり来たりして数えるようにします。

 

ただし、みんなはしっかりと手を合わせて唱題するようにしましよう。

 

③お数珠は「衣」

 

日蓮正宗では、ご僧侶が身につける「袈裟」と「法衣」の二つと、私たちも使用する「数珠」の三つをあわせて「三衣」といい、とても大切にされてきました。

 

衣というのは、私たちが身につける衣類のことで裸をかくす意味があります。お数珠は衣ではないのに、どうして「三衣」の一つになったのかふしぎだと思いませんか?その答えは、お数珠の珠の数にかくされています。

 

さきほどの経典に「一〇八の珠」がでてきましたが、この数は人間が持っている煩悩をさしているのです。そして、煩悩は私たちがいろいろ悩んだりする元となるものですから、たくさんでてきてしまっては困ります。そこで、煩悩を「ふたをしめてかくす」わけですが、これをお数珠を手にかけることによってあらわしているのです。

 

また、今の時代に日蓮正宗の教えを弘めていくと、反対されたり、いじわるをされてしまうことがあります。しかし、仏さまは何があってもめげずに「がまんをして忍びなさい」ということを教えています。仏教では「がまんして忍ぶこと」を「忍辱の衣を着る」ともいいます。衣の一つであるお数珠を手にする私たちは、何がおこってもがまんする心を持つとともに、大聖人様の正しい教えを世のなかに弘めていくようにつとめましょう。

 

このようにお数珠には、ご僧侶の袈裟や法衣と同じような大切な意味があることを忘れないでくださいね。

 

まとめ

 

むかしから「数珠は仏のごとくせよ」といわれています。お数珠には、今まで説明してきたようなとても大事な意味があり、真剣な勤行や唱題に使うものですから、仏さまのように大切にあつかいなさい、という意味です。ですから、たたみや床の上に直接おいたり、ジャラジャラさせて遊んだりしてはいけません。

 

もしも、弟や妹、少年部の小さなお友だちが、お数珠で遊んでいるのをみかけたら、大切にすることを教えてあげてくださいね。

 

(妙教 平成21年8月号 29~32ページ)

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